……ぜんぜん平気じゃないよ。

今すぐここから出たいよ。


そのとき、キーンコーンと予鈴が鳴り響いた。
それをいいことに、勢いよく回れ右をする。



「私、授業行ってくる……」

「逃げる気?」


「いや……そういうわけじゃ、」

「まーいいや。続きはまた明日。いっぱい話そうね、るなこ」



突然伸びてきた手が私の肩を掴んだ。

そうして下からのぞき込まれると、視線の逃げ場は完全になくなり。



「まさかとは思ったけど、やっぱりね」


低い声に不敵な笑みを添えて、彼は、私の首筋にそっと顔を近づける。


「三好の香水の匂いだ」




――部外者が無断で立ち入ることが

RED KINGDOM においてどれほどの意味をもつのか。



はあああ、制裁を受けることになっちゃうのかな……。