「っ、嘘でしょ?なんで、三好くんがクラス棟にいるの……?」

「2階に降りてくるのなんて初めてだよね!? しかも、隣に女子、いるけど……」

「ね、ありえないよねっ? だって三好くんが遊び相手に選ぶのは、ぜったい“他校の女”って決まってるのに──」



次々に聞こえてくるのは、そんなセリフたち。

2階に降りてくるのが初めて?同じ2年生なのに?しかも、もう2学期なのに?


あ然として足を止めるも、彼は──どうやらミヨシくんというらしい彼は
なにも聞こえていないかのように然悠と歩き続ける。



え、あの女の子たち騒いでるけど、この状態ってだいじょうぶ……?



「チャンるな、突っ立ってないで早く来なね」

「ちゃんるな……? って私?」



無言。定肯らしい。

またちょっとヘンな呼び方された……。

REDの幹部って、人をヘンなふうに呼ぶのが趣味なのかな……。



でも、1回名乗っただけなのに、黒土くんもミヨシくんも覚えてくれた。

人の話を聞いてないようで聞いてる。
ふたりとも、無関心ながら記憶力がすごくいいのかも。