ピ、と三角のボタンを押すと、扉はすぐに、音もなく開き──。

完全な密室になったあとで、つんと鼻をついたのは錆びた鉄、のようなにおい。



廊下よりも少し寒い気がするのは、エレベーターの中にひとりきりだから……?

後ろの鏡越しに、不安な顔をした自分と目が合った──。



『4階です』

ぐっと強い重力を感じたのち、音声案内と同時に扉が開く。

その直後。



「っ、……え?」

息が止まりかけた、のは。



目の前に広がる景色が“真っ暗”だったから。

な、んで……?今は昼休みで、ここは校舎の4階で、……あれ?



パニックに陥った先、トドメの一撃は



「誰、お嬢さん」


と、そのなにも見えない闇の中から、突然人の声が聞こえたことだった。