待って、さっきから話に追いつけないんだけど。

異質って……べつに、言うほどではなかったような。
さらに首を傾げると、ようやく私がなにもわかってないことに気づいてくれたらしい。



「あ、もしかして知らないのか! ちょうど自習だし、オレが学校のこといろいろ教えてあげるよ。なにから知りたい?」

「ほ、ほんと? 助かります……」



転校してきた身としてはこれほどありがたいことはないので、お言葉に甘えることにした。


どこから知りたい、か……。

まず、私が知っていることと言えば

──ここは帝区、1番街に建つ、私立赤帝高等学校。

全寮制。
生徒数約700名。男女比、3対2。
偏差値はまあまあの進学校。

怜悧くんがいるかもしれない学校のことだから、転校前に調べられる情報は徹底的に調べた。



伝統を重んじる校風だってパンフレットに書いてあったけど、「カンブ」なんて文字はどこにも見当たらなかったよね……。


一番知りたいって言ったら、やっぱり“怜悧くん”について。

でもそれは他人から聞くより、自分の目で確かめたいって思うから、出かかった言葉を呑み込み、質問を改める。