周りに人はいない。 だけど、ここは黒帝の中。 いろいろ聞きたいことも言いたいこともあるのに、上手く言葉が出てこない。 そうだ。巫くんに連れ出されたあと ……気が遠くなって。 「っ、怜悧くんは?」 「了くんと一緒にいる。おれの処分について話してるんだろうねえ」 「……処分って……」 「てか怜悧くん。右手怪我してんのにすごいよね。急所狙えばよかったなあ、なんて」 冗談めかして笑う絢人くん。