怜悧くんに蹴り飛ばされた体が、宙に浮いて、壁にぶち当たる。 「っ、か……は、ぁ」 口元から零れ落ちたのは、鮮血――。 「松葉、まだ口きけるか? 話がある」 怜悧くんが前にかがみこんだ。 ちらりと、視線だけを巫くんに向けて。 「悪いけど、本田サンと絢人を連れて向こうで待ってろ」 鉄の匂いが充満する部屋で 私は、差し出された巫くんの手をとった ――。