――危ない。避げて……。



とっさに目を閉じかけたのと、

――にやりと怜悧くんが笑ったのがほぼ同時。



かばっていたはずの腕を高くかざした怜悧くんに、松葉は驚いたように固まり。


振り下ろすのかと思いきや、

松葉の顔すれすれのところで、ぴたりと動きを止めて。



「こっちのガードが、甘いんだよ」


松葉の脇腹を目がけて、

ドン……っと。


鈍い音がした。