諦めた瞬間に、張りつめていた緊張もぷつりと切れた。


足元からがくん、と力が抜ける。

視界が歪んで、真っ暗になる。


そういえば私、ろくに眠れてなかったし、なあ……。


意識が遠くなりかけたとき。




──“月”

大好きな人の声を聞いた気がした。



今、の……。

直後。


ドガン!となにかが派手にぶつかる音がして

――閉まってたはずの扉がゆっくりと倒れてきた。