「じゃ、そーいうことなんで」
「うぐっ、ん」
赤面するレベルのヘンな声が出てしまったのは、首根っこを掴まれて強引に室内へ押し込まれたから。
見た目は気だるさ全開なのに、やたらと力のお強いことで……。
先生、にこにこしてないで止めてくれてもいいのに。
ていうか止めるべきでしょ。
女の子が目の前で乱暴されていますよ!
「じゃあワタシは職員室まで行ってきますので」
身を翻した先生の長い髪が優雅に靡く。
どうしよう、止めてくれるどころか、どっか行っちゃった……!
黒土くんがスー…と扉をスライドさせて、カチャリ。
内側から鍵をかけた。
生徒たちの声もぴたりと聞こえなくなって、ここだけ、切り離された別世界みたい。
「なんで鍵かけるの?」
「あー、るなこはかけないほうが興奮するタイプ?」
「鍵かけちゃったら、具合が悪くなった人が来たとき困るでしょ」
「そのときはちゃんと開けてあげる。おれは静かなところで、るなことふたりになりたかったの」