「え……。三好くんは自分の目で見たの? 絢人くんが出入りしてるところを」

「いや。だからガセだと思い込んでた……つい、この前までは」


や、やだ……。
怖い話は聞きたくない。

絢人くんは、私が赤帝に来て一番最初に仲良くなった人なのに……。



「だって、それじゃあ証拠はないよね?」

「幹部寮は、メンバーのルームキーと扉にICチップを埋め込んでる。それを通じてオレはメンバーの出入りの状況をチェックしてるんだよ」



いったん言葉を切った三好くんの瞳が、わずかに揺れたのがわかった。



「けど、黒土はセキュリティのシステムに細工してた。 ……自分の部屋のぶんだけを、自由に書き換えられるようにね。それなら、寮にいるフリをしていつでも抜け出すことができる」