かかった時間、わずか1分ほど。

よかった、帰ってこなかったー!


ほっと安心、洗面台を出た──ときだった。

──ピピッ。

電子音に、体が硬直する。

この音は……部屋のキー解除の音。



ま、まずいまずい!!
早くQUEENの部屋に戻んなきゃ……っ。


あたふたするも、あと1歩、間に合わなかった。

ばたん、開いた扉が閉まる音。扉とお風呂場は目と鼻の先。


んああ、私、ブラ付けてないよ。

だってもう、QUEENの部屋で過ごすだけのつもりだったんだもん。


でも、だ、大丈夫……。

お風呂借りること自体はやましいことじゃないし、怜悧くんもわかってることだし。


それとなく「おかえり、お疲れさま」って……。

心臓ばくばくで怜悧くんの姿が見えるのを待つ。


だけど……姿は現れず。