「じゃあ……じゃあ明日、解けませんでしたって先生に正直に言う、」
「ああ、そうしろ。……真面目なのもいいけどな」
ふと、ほっぺたに怜悧くんの手が触れた。
「っ!」
暗いから間違って当たったんだと思ったのに、離れていく様子はなく。
え……。
触れた部分が燃えそうなくらい熱い。
不思議なことに、さっきまであんなに硬直してた体から、だんだんと力が抜けていく。
鼓動は変わらず激しいビートを刻み続けているのに、ヘンな感じ。
――ドッドッドッ。
心臓が耳元に移動したんじゃないかってくらい爆音で聞こえる気もするし、どこか遠くで聞いているような感覚でもある。
飲んだこともないけど、お酒に酔ったらこんな感じなのかなあと思う。
うっとり、とろけちゃいそうな。
私の妄想フィルターが外れていないのかもしれない。
甘いムードを感じるのは……勘違いだよね……。
「きょう、まちくん」
勘違いは勘違いで終わると思ってた。
そう、二度も三度も夢みたいなシチュエーションは訪れないだろうって……。



