不気味なほど静まり返る空間。
ぽた、ぽた……と、黒土くんの机から、制服から、雫が滴り落ちる。
やばい、早く謝らなきゃとか早く拭かなきゃとか。
頭ではわかるのに、体がぜんぜん動かない。
おとなしくしてろ、と言われたそばから、このザマです。
沈黙の中、「チッ!」と。
鋭く放たれた舌打ちの威力は凄まじく。
そ、相当怒っていらっしゃる……。
ちらりと周りに目を向けると、当事者でもないクラスメイトたちまで青ざめていた。
「やばいって、転校生逃げて……」
「ど、土下座案件だよ……」
――やらかした。
どうやらこのクラスで一番怒らせちゃいけない人を怒らせちゃったらしい。



