――そう意気込んで、15分後。


数学の教科書を開いたまま、私は放心していた。

明日の数学では、みんなの前で回答しなきゃいけないのに、運悪くも、単元で一番難しい大問5が当たる。

ネットで解き方を調べてみようかなとスマホを開いたものの、似た例題が見つけられずに沈撃。


挙句には、あまりにわからなさすぎて眠気が襲ってくる始末で。



「そうだ、作業用BGM流そう……」

動画サイトで集中力が上がる音源を検索して流してみたのに、嘘ばっかり。

子守唄みたいな優しいメロディに包まれて、眠気は極限までやってきた。


うう……。
ぐらんと頭が揺れる。

ちょっとだけ、眠ろうかな……。

ちょっとだけ、と言い聞かせて、

瞳を閉じた――瞬間にもうだめだった。



意識がぷつんと切れて、あっという間に深い深い眠りへ落ちていく。