最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -

お、追い出すってそんな……。
黒土くんにそんな権利ないよね……?

そう思ったけど、抑揚のない口調の中に、ぞっとするくらいの冷たさが確かに存在した。



慣れない環境の変化による緊張や不安も相まって、気づけば喉はからからに渇いていて。

ホームルーム終了後。
先生が教室を出たのを確認して、自販機で買ったペットボトルをカバンから取り出す。


とりあえず服一しよう……朝からいろいろ、頑張った、私。



ところがキャップを回そうとするも、なかなか動かず。

ぐぐぐ、とヘンに力を込めすぎたところ。


開いた!と喜んだ直後、するり。
水滴で手が滑ってしまった。


……あ。


手から離れる、傾く、中身が零れる……。


ペットボトルの飲み口は──黒土くんのほうを、向いている。



その光景は……やけにスローモーションで目の前を流れた。




ーーバシャ……。


本田月、17歳。

転校初日、隣の席の怖い男の子にお水を、ハデにぶちまけました。