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目が覚めるとそこに怜悧くんの姿はなかった。

覚醒しきっていない頭で夜の記憶をたどる。

何回も何回も触れられて、甘い言葉を囁かれたような、気がするようなしないような。



怜悧くんに限ってそんなことはないでしょう、私っていつから妄想魔になったの。


部屋を見渡して、カーテンから洩れる光に目を細めた瞬間にハッとする。

学校……!今何時……?

ベッドの隣、サイドテーブルに置いたスマホを見た。


転校初日からバッテリーが瀕死だったのを、怜悧くんがワイヤレス充電器で救ってくれた。

うわわ、8時22分。



1限目にギリギリ間に合う……頑張れば。

気合い入れて準備しなきゃ。

朝ごはんは今日も抜きかな……。


ところで部屋の主はどこへ行ったんだろうと思いながら、ベッドから下りたときだった。


――ピンポーン。
インターホンが鳴ってびくり。


誰だろう!