「みっ、見たの……っ?」

口にしたとたん、じんわりと涙が浮かんでくる。

相手を見上げてるから、かろうじて溢れないけど、少しでも下を向いたら……。



「…………」

「…………」

「……見てねーよ、泣くな」

「ほん、とに?」

「ああ。無防備すぎて、いっそ全部脱がしてやろうかとも思ったけど」



ぽたり、怜悧くんの髪先から雫が落っこちた。

あくまで冷静な瞳に見下ろされて、それだけでくらくらする。



「そーだ。昨日、本田サンに話があるって言ったろ」

「あ……うん」


「個室に風呂ないけどいいか?」

「え?」

あ、寮の話か!

私が入る予定だった部屋がボヤで使えなくなったから、新しい部屋を探してくれたのかな。



「もちろん。それより空き部屋あったんだね~、よかった!」

「いや逆」

「え?」

「空き部屋ねーから、当分はこっちの寮に入るってことで話をつけてきた」

「はあ、こっちのりょう……」