――夢を見た。


怜悧くんがお姫様抱っこしてくれる夢。


ゆらゆら、体が宙に浮いた感覚が妙にリアルで、このまま覚めないでほしいって思った。




「月、……可愛い」


なんて、怜悧くんからは想像もできないくらい甘い声で囁かれて

そっとキスが落とされる……。


抱きしめてくれる腕は優しくて、すごく、大事にされてるって思えたんだ。




夢だから叶う、現実では絶対にあり得ない

幸せな出来事だった――。