また視界がぐるぐるしてくる。ワインレッドに焦点が合ったりぼやけたり。

ゆっくり下りてきた熱が太ももに触れて、体がびくん!と跳ねる。



「う……うぅ、そんなところ、触られたらっ」

「うん?」


甘い感覚が広がって、思わずぎゅってしそうになる。

だけど、ショーツまではいてないことがバレたら大問題。


なんとかして、怜悧くんの意識を太ももからそらさなきゃ……。

でも、離れたくは……ないよ。



「あ、あの……そこじゃなくて、こっち……」


私の顔を見てって伝えるつもりで、裾を引っぱる。

見上げると、至近距離で視線がぶつかって、息の仕方を一瞬忘れた。



「――、」


黒い瞳の中に私が映る。

ばくんばくん。うるさい心臓。


瞳の中にすうっと吸い込まれて、それもすぐに聞こえなくなる。


視界がぼやけて、目の前にふっと影が落ちた――。