髪をもてあそんでいた手が、すっと下りてきた。
肩の輪郭をなぞられて、びくり。
「ひ、あ……」
やばいだめだ、ばれちゃう、このままじゃばれちゃう……っ。
「さ、触んないでっ…!!」
とっさの判断は正か否か。
気づいたら思いっきり怜悧くんを突き飛ばしてた。
──もちろんその程度で倒れちゃうような弱い相手じゃないけれども。
「ごっ、ごめんなさい」
焦りで景色がぐるぐるしてくる。
「……ずいぶん凶暴だな」
背もたれに寄りかかって、私を据える黒い瞳。
凶! 暴!一瞬で打ちのめされる。
す、好きな人に早くも嫌われた……っ。
今までの出来事が走馬灯みたい頭の中を駆けめぐる。
転校初日、人に水をぶちまけちゃうし、先生に怒られるし。
私の部屋だけ燃えるし、女の子の友達もできないし、それどころか呼び出されて。
やっと再会できた怜悧くんには、たぶん覚えられてなくて。
挙句、こんな……。



