「あまりに遅いんで倒れてんのかと思った」
お祭りの太鼓かってくらいうるさい心臓を押さえながら部屋に戻ると、怜悧くんはくたびれた様子で視線だけをこちらに寄こした。
「お風呂を長く借りてすみません。シャワーありがとうございました。あっ、あと、トレーナーもっ」
ああ、と短い返事。
それで終わりかと思えば。
「本田サン、もうちょっとこっちに来な。話がある」
「っえ」
俺の隣に座れと、視線で誘導してくる。
好きな人に来いと言われたら、魔法にかかったみたいに自然と足が動くのだけど
いざ隣に座ると、今度は呪のろいにかかったみたいに緊張でがちがちに固まってしまった。
なんの話だろうってことよりも、今は下着をつけてないってことのほうが頭を支配してるから。
「あのっ、お話の前に、やっぱり管理人室に荷物を取りに行ってもいいですか」
外はいつのまにか日が落ちてるし、目立つこともない。
寮の中ではみんな私服だろうし、この格好で管理人室に行ってもヘンには思われないでしょ
……ぎりぎり。



