映画に連れて行くのが、限界かもしれない。



「可愛い姿、他のやつに見せたくないし……独り占めしたいです」



これでも一応、今すぐ帰りたいのを我慢している。

静香先輩には楽しんでほしいし、初めてのデートだから、何か思い出に残ることがしたい。


映画を見て、帰り道に花が綺麗な庭園があるらしいから、そこを通って帰って……


俺の家について、ふたり甘い時間を過ごしたい。

また寒いことを思った自分に引きつつ、もう慣れようと思った。

きっと静香先輩といたら、寒いことばっか考えそうだし……気持ち悪がっててもキリがない。


愛想を尽かされないように、心の中だけにとどめておこう。



「は、はい……」

「それじゃあ、早く映画行きましょう」