この人が今まで恋とは無縁の生活を送っていたなんて、きっと誰も想像がつかないだろう。
男なんて選り取りみどりだっただろうに、初めて好きになった男が俺なんて……勿体無いとすら思う。
でも、嬉しくてしかたなかった。
初めてとかにこだわるのは女々しい気がするけど、それでも喜ばずにはいられない。
俺は先輩の……初めてで、最後の恋人になりたいなんて、早速強欲なことを思っている。
* * * *
「そこ!!サボってんじゃないわよ!!」
部活中。いつも通りの光景が広がっていた。
サボっているマネージャーと、それを追いかけ回しているリナ先輩。
「リナ先輩の説明がわかりにくいんですよ。もっと優しく教えてください〜」
「はぁぁ!?まずは聞く態度から改めなさいよ!!」
「はぁ……静香先輩の言うことなら聞くんだけどなぁ……」
「あんたらねぇ……」
怒りで震えているリナ先輩を、視界から外す。