俺が守ってやれなかったから、桜は泣いている。
こんなにも、脅えて小さな身体を震わせている。
ああ、どうしてやろう。
ーーーこの怒りを、冷ますにはどうすればいい。
「お兄さん…勘弁してください…」
とりあえず、お前はただじゃおかねーよ……?
首を押さえながら、悶える奴の胸ぐらを掴んだ。
殴って殴って殴って……それでも、怒りは収まらない。
もう、このまま死ねばいいのに。
そうだ、どうせこいつ、このまま生きてても俺にとって邪魔な存在にしかならない。
桜もきっと、もうこいつの顔なんて見たく無いだろうし……
桜のためなら、俺は人間ひとりくらい殺せる。
「ゃ、やめっ…がっ君っ…」
桜の脅えた声が聞こえて、安心させてあげたくてせめてもの笑顔を浮かべた。

