もし、桜があいつに……犯されていたらどうしよう。
ーー桜のペースに合わせると、余裕を装っていたことを後悔した。
こんなことになるなら…無理矢理にでも…、初めてを、奪っておくんだった。
今日、どうしてあいつと桜を黙って見送ってしまったんだろう。
あいつがいる家に、仕様がないと言ったって…おいておいた俺がバカだった。
車窓から、桜の家が見えた。
けれど、寸前のところで信号につかまってしまう。
「もういい。ここで降りる…!」
走った方が早い。
急いで車を降りて、桜の家へと一直線に駆ける。
扉を引くと鍵が掛かっていたので、舌打ちを零しながらも合鍵で鍵を開けた。
「…ッ、くそ…!」
けれど、扉にはさらにチェーンがかけられていて、俺の進入を防ぐ。
チェーンまで閉めて…計画性のある犯行、ってわけ…?

