【完】君は狂った王子様。Ⅱ



もし、桜があいつに……犯されていたらどうしよう。



ーー桜のペースに合わせると、余裕を装っていたことを後悔した。


こんなことになるなら…無理矢理にでも…、初めてを、奪っておくんだった。


今日、どうしてあいつと桜を黙って見送ってしまったんだろう。

あいつがいる家に、仕様がないと言ったって…おいておいた俺がバカだった。



車窓から、桜の家が見えた。

けれど、寸前のところで信号につかまってしまう。



「もういい。ここで降りる…!」



走った方が早い。


急いで車を降りて、桜の家へと一直線に駆ける。

扉を引くと鍵が掛かっていたので、舌打ちを零しながらも合鍵で鍵を開けた。



「…ッ、くそ…!」



けれど、扉にはさらにチェーンがかけられていて、俺の進入を防ぐ。

チェーンまで閉めて…計画性のある犯行、ってわけ…?