【完】君は狂った王子様。Ⅱ




『いいよ…助けてあげる。とびっきり、気持ち良くして、快楽から解放してあげる』



今すぐそいつから、



『んっ…』



ーーー離れるんだッ…!


そんな俺の心の声が、桜に届くはずはない。

頭の中が、真っ白になった。


…キス…?


確かに、リップ音と、桜の甘い声が耳に入った。



そして、電波障害が起きたのか、盗聴器の接続がプツンと切れた。



「…ッ、ふざけるなッ…!!」



ノートパソコンを、車の床に叩きつけた。

あの男…許さない、許さない許さない許さないッ…



「桜ッ……桜子ッ…」



頼むから、無事で居てくれッ…。


桜の家に向かう間、もう俺は本当に、生きた心地がしなかった。