【完】君は狂った王子様。Ⅱ




まだ、まだ着かないのかッ……。

こうしている間にも、桜はあいつに……



「後どのくらいで着くッ…!」

「すみませんっ…あと5分ほどかかってしまいます…」



5分だと…?



『お、お兄ちゃんっ、おかしいっ、助け、て…っ』



……こんなものを、5分も見逃せと言うのか。

怒りで身体が震えて、「ハアッ……」と溢れる息さえも、情けなく揺れていた。


くっそ……頭、痛ェ……。

おかしい話だ…ヘッドホンから聞こえる音に、耳を塞ぎたくなる。



『ハァッ…桜子…』

『助けて、ほしい?』

『ぅ、ぅんっ…助けてっ…』



ダメだ、桜子…ッ、俺が行くから、すぐに向かうから、逃げて……。