【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「ゃ、やめっ…がっ君っ…」

「ちょっと待ってね桜子。先にこいつの息の根止めるからさ」



冗談には聞こえない言い方に、怖くなってがっ君へと手を伸ばす。


やめてっ…お兄ちゃん、死んじゃう…!

本当にそう思ってしまうほど、がっ君から発せられる異様なほどの憤怒。

お兄ちゃんはもう意識を失ってしまっているようで、防戦一方の状態だった。


言うことをきかない身体を必死に動かして、がっ君の背中に抱きつく。



「やだっ…」



やめて、もうやめてっ…。



「………桜子、危ないから離れてて」

「わたし…大丈夫、だから…っ、だから…」



こんな状況なのに、身体が火照って仕方がない。