離れて行ってから、わたしはようやくキスをされたのだと気付いた。
お、兄、ちゃん…?
「な、なにし、てっ…」
ど、うして…っ、キスなんて…。
ーーわたしたち、兄妹、だよっ…?
「なにって…キスだよ。京極君ともしてるだろ?…ね、京極君とはどこまでしたの?」
「や、やめっ、お兄ちゃんっ」
怖い…
お兄ちゃんが、怖いっ…!
必死に抵抗しようと、再びわたしの顔に近づくお兄ちゃんの顔を、押しのけた。
けれど力の入らないわたしの抵抗なんてないのも同じで、呆気なく手を握られたかと思えば、頭の上で拘束された。
欲望の煌めく瞳で、わたしを見下ろすように見つめるお兄ちゃんが、怖い。

