伺うように見つめると、がっ君は一瞬冷めたような瞳でお兄ちゃんを見た後、無表情でわたしに背を向けた。
「…そう。それじゃあまた明日」
「がっ君…?」
ーーーあれ?
いつもならバイバイする時、笑って頭を撫でてくれるのに。
これでもかってくらい、優しい声で、わたしの名前を呼んでくれるのに…。
…っ。
もうわたしには興味はないと言わんばかりに、すたすたと去っていくがっ君。
その姿に胸が痛んで、わたしはスカートの裾を、シワができるくらいに強く握った。
怒らせ、ちゃった…?
わ、わたしが、お兄ちゃんと帰るって言ったから…?
で、でも、帰ってなんて、言えなかったんだもん…。
「桜子、行こう」
俯いているわたしの手を、お兄ちゃんが優しく引っ張った。

