「桜子!!!」



…え?

お兄、ちゃん?



背後から聞こえたのは、紛れも無くお兄ちゃんの声。

振り返れば、そこにはこちらへ走ってくるお兄ちゃんの姿が。


…正門に立っていたの、お兄ちゃんだったんだ…!


がっ君が、髪を掻き上げて溜息を吐いた。


…そういえば、わたし、お兄ちゃんに怒ってたんだった…。

朝の発言を思い出して、目の前にいるお兄ちゃんとは目を合わさず、下を向く。



「桜子…」



そんな申し訳なさそうな声出したって…ほ、絆されないもん…っ。

がっ君のこと悪く言うお兄ちゃんは嫌いっ…。


俯いたまま、口を固く閉ざして黙りを貫いた。



「朝はごめん…。仲直りしたくて、迎えに来たんだ…」



仲直り…?



「がっ君と帰るから…大丈夫っ…!」

「頼む。そんなこと言わないでくれ…。俺が悪かったよ」



お兄ちゃんは、わたしの方へ歩み寄り、頰に手を伸ばしてきた。