「こら桜子。他の男見るんじゃない」



どうやら、わたしが椎崎さんを見つめていたことが、気に入らなかった様子。

耳元に唇を寄せ、わたしにしか聞こえない声量で囁いたがっ君の声は低い。

わかりやすいヤキモチの表現に、思わず胸がきゅんっと音を立てた。



「それにしても、椎崎さんが頼みに来るなんてよっぽど強い所なんですか?」

「あぁ…関西の、早乙女校ってところで…うちの姉妹校なんだけど、関西トップのバスケの強豪なんだ」

「早乙女…?」



がっ君の、声色が変化した。

わたしの頭を掴む手にも、心なしか少しだけ力が加えられる。



「京極君が入ってくれたらなんとか勝てるかなと思ったんだけど…突然ごめんね…「いいですよ」

「…え?」

「日曜、試合でます」