そこには、いかにも真面目そうな男子生徒が立っていた。
「ああ、椎崎さん」
がっ君が、彼の名前を呼ぶ。…小さな舌打ちが聞こえたのは、気のせいということにしよう。
椎崎さん…がっ君のお友達、かな?
切羽詰まったような顔を浮かべた椎崎さんと呼ばれる人は、髪を掻きながら、がっ君の方に歩み寄る。
「急で申し訳ないんだけど、今週の日曜日、練習試合の助っ人に来てもらえないかな…?」
「今週?…すみません…日曜日は予定があって、お力になれそうにないです」
何の会話をしているのかわからないわたしは、二人を交互に見つめて話に耳を傾けた。
椎崎さん、がっかりしてるみたい…何か大事な用事だったのだろうか?
うーん…って、きゃっ…!
椎崎さんを見つめていると、がっ君がわたしの頭を引き寄せて、自分の胸に押し付けるように抱き寄せてきた。

