本気で言ってたなんて…思わなかった…。

愛されていることを、身に染みて実感する。



「ごめんね…わたしが、ワガママ言ったから…」

「だから、何度言ったらわかるの?こうなることを望んだのは俺なんだ。他の女なんて、とうでもいいだろう?」

「…ありがとう。がっ君はいつも、わたしのこと大事にしてくれて…嬉しい。大好きっ…」



優しい笑顔に微笑みを返して、繋ぐ手に力を込める。

なんだか今日は、素直に『好き』を言葉にできる。


がっ君は、口の端を上げて、眉の端を下げた。

歓喜に満ちたようながっ君の顔が、近づいてくる。


…もしかして、キス、しようとしてる?

こんな、朝の登校で生徒が賑わう中で…っ?


咄嗟に拒もうとした時、わたしの代わりにがっ君を止めたのは、男の人の声だった。



「京極さん!」



がっ君の名前を呼ぶ声に、二人揃って振り返る。