舌?


がっ君は突然立ち上がると、わたしの脇に手を入れ持ち上げてくる。

えっ…!

後ろにあるベッドに座り、自分の膝の上にわたしを乗せた。



「…ねぇ桜。昨日の意味、まだ教えていなかったよね…?」



わたしの肩に顎を乗せ、後ろからそんなことを言ってきた。



「昨日の、意味?」



昨日って、文化祭?

何か言ってたっけ…?



「深いキスの意味」と、やけに色っぽい声で囁かれ、身体がビクッと反応した。

そ、そういえば、そんなこと…。



「あっ…うん、どういう意味なの?」



近過ぎる距離に、顔が赤くなっているのを隠すよう、平然を装って聞いた。




「ひゃぁっ…」



がっ君は、わざとだろうか、吐息をふぅっ…と吹きかけてきて、思わず変な声が出てしまう。

恥ずかしくてさらに頰が熱くなり、がっ君の腕から逃れようと身を捩った。



「大人のキスだよ」



へ…?



「大人の、キス?」



…って、どういう意味…?


頭の上に浮かんだ、幾つかのはてなマーク。

がっ君は「フッ…」と笑い、再びわたしを持ち上げた。



「えっ、えっ…?」



な、なにっ…!


ベッドに寝かせられ、押し倒されるような体勢に。

がっ君はわたしに顔を近づけて、不敵な笑みを浮かべた。

その表情がとても色っぽくて、見惚れてしまう。

口角の上げられた唇が、ゆっくりと開かれた。