お兄ちゃんといたくないわけじゃなくて、お兄ちゃんとも一緒にいたいけど…やっぱり、がっ君と二人の時間を、大事にしたい…。



「要、牙玖君がいるんだから、彼に任せたらいいのよ。いつもちゃんと送り届けてくれるし、彼は信頼が置ける男よ」



お母さんの発言に、わたしは心の中で感謝の言葉を並べた。



「あんな胡散臭い男の、どこが信頼できるの?ほんと、お兄さんって呼ばれるたびに虫唾が走るよ」



眉を顰めて、溜息を吐くお兄ちゃん。

流石に聞き捨てならず、わたしはお箸を置いて、お兄ちゃんの方に身体を向ける。



「お、お兄ちゃん…がっ君のこと悪く言わないで…」



ぎゅっと、下唇を噛んだ。

少しも悪気のなさそうな顔で、お兄ちゃんはわたしと目も合わさずにだし巻き卵を口へと放り込んだ。