わたしは、がっ君の恋人、だから…!
「お兄ちゃん…?」
返事をした後、沈黙が続き、何も言わないお兄ちゃんに不安になり顔を覗き込む。
一瞬、暗闇の中で見えたお兄ちゃんの顔が酷く怒りに満ちたような表情をしていて、わたしは目を見開いた。
…え?
けれど、それは本当に一瞬で、お兄ちゃんはすぐにいつもの優しい表情に戻る。
「そうか…桜子も恋愛をするような年頃になったのか。もし京極君に嫌なことされたら、すぐに俺に言うんだぞ?」
「ふふっ、ありがとう。でも、がっ君はわたしの嫌がることなんてしないから大丈夫だよ!」
…き、気のせい、だよね?
にこりと微笑んで、お兄ちゃんに抱きついた。

