あの男の桜を見る目に、恋慕が見え隠れし始めたのは、そのすぐ後。


厄介なのは、排除出来ないということだ。


桜との結婚に、奴は必要不可欠だから。

ある意味、あいつが長男として白咲家に居るから、桜との結婚が円満に行くようなもの。


他の男のように乱雑な扱いは出来ないし、表沙汰俺は頭を低く保つ他無い。


初めは、我慢した。

あいつが桜を女として見ていることにも、何とか目を瞑ったさ。


けれど…日に日に、男の顔になるあの男に、危機感を覚え始めた。


今までは、兄妹なのだから、流石に手を出すことは無いだろうと、思っていたけれど……


…その可能性が、無いとは言い切れなくなったのだ。