「……が、牙玖……?」
よ、呼び捨てって、違和感あるなぁ……と思いながらも、言われるがまま呼んでみた。
がっ君は、わたしを見つめたまま終始動かず、余韻に浸るような表情をする。
「……やばい……」
とんでもなく喜んでいるようにしか見えない姿に、わたしは頭の上にはてなマークがいくつも浮かんだ。
「……そ、それだけ?」
ご褒美って、もっとこう……どどーんっとお願いしてくれていいのに……
思わず口に出た言葉だったけれど、どうやらがっ君的には失言だったらしい。
「それだけってなに?桜が名前で呼んでくれることなんて、今まで一度だってなかったんだよ?貴重なことこの上ないよ」
よほど嬉しかったのか、あの頭の良いがっ君がおかしな日本語を使う始末。
「それに、呼び捨ての方が恋人同士みたいだろう?」

