しかし、俺が桜に婚約を申し込んだことで、その全てが無になる。
俺も、京極家の一人息子だ。
家を継ぐことは決定事項、京極家は血筋を色濃く守る家系のため、血縁関係のある子孫が継ぐことが決まっている。
…故に、俺は白咲家へ婿養子に行くことは叶わない。
俺と桜子の婚約は難しい…と、なるところだったが、そこは問題なかった。
白咲家は、京極家の求婚を断ることなど出来ない。
…出来ない状況に、させてもらったから。
桜と俺の婚約は無事に決まったが、そうなると、白咲家の名が途絶えてしまう。
そこで、桜の両親は養子を貰うことにした。
そうしてやってきた余所者が……あの男だ。
俺と桜が9才の時、あの男はやってきた。