【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「酷いことって……桜はなにもしてないでしょ」



優しいがっ君の言葉が、今は苦しい。



「おいで」



そう言って手を広げたがっ君に、強く抱きついた。

背中を叩いてくれて、心地のいいそれに少しずつ心が落ち着いて、いつの間にか涙は止まっていた。



「お兄さんと、電話で話したんだ」

「え……?」

「……反省してたよ。もう絶対あんなことしないって。次に帰ってきた時は、桜の兄として俺たちの前に現れるって」



優しい笑顔を浮かべたがっ君に、止まっていた涙がまた溢れ出した。

じわりと視界を滲ませた雫を、ごしごしと拭う。



「釘を刺しておいたから、桜はなにも心配しなくていい。もう、泣かなくていいからね」



釘を刺すという言い方に少し棘があったけれど、酷く落ち着く声色で囁かれた。