「……ごめんね桜。泣かないで」
教室に、いつもの優しい、がっ君の声が響いた。
大きい手が伸びてきて、わたしの身体を包んだ。
「……そんなふうに思っていたの……?……ほんとうに、変なところでバカなんだから」
胸の温もりが伝わってきて、ようやくいつものがっ君に戻ったことが嬉しくて、涙が滲む。
「ふふっ」
「がっ君……?」
何が面白いのか、頭上から聞こえる笑い声。
「俺ね、桜のこと、守ってきただなんて思ってないよ。だってそれ以上に、桜に酷いことをしてきたから」
抱きしめられているから、がっ君の顔が見えない。
けれど、その言葉は優しい声色で紡がれていた。
ぎゅうっと、腕に力が込められたのがわかる。

