【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「……ごめんね桜。泣かないで」



教室に、いつもの優しい、がっ君の声が響いた。

大きい手が伸びてきて、わたしの身体を包んだ。



「……そんなふうに思っていたの……?……ほんとうに、変なところでバカなんだから」



胸の温もりが伝わってきて、ようやくいつものがっ君に戻ったことが嬉しくて、涙が滲む。



「ふふっ」

「がっ君……?」



何が面白いのか、頭上から聞こえる笑い声。



「俺ね、桜のこと、守ってきただなんて思ってないよ。だってそれ以上に、桜に酷いことをしてきたから」



抱きしめられているから、がっ君の顔が見えない。

けれど、その言葉は優しい声色で紡がれていた。

ぎゅうっと、腕に力が込められたのがわかる。