【完】君は狂った王子様。Ⅱ





今までずっと抑えてきたんだから、急ぐ必要なんてない。

本心を言えば、今すぐにだって繋がりたいけれど。


こんな脅えている桜を前に、無理強いなんてしたくない。

さっきも酷く震えていたし……あの男に襲われた時のことを、思い出してしまったのかもしれない。

自分の私利私欲を満たすために、唯一の愛しい人を脅えさせるなんて……俺はまだまだガキなのだと思い知らされた気がした。


そうだ、今すぐに桜を俺のものにする必要なんてない。

心は俺を選んでくれているのだから、それだけでいいじゃないか。

しきたりがあるからと言って、俺が他の男から、桜を守ればいいだけの話。


もう、あんな目には遭わせないと、決めたばかりなのだから。