今までずっと抑えてきたんだから、急ぐ必要なんてない。
本心を言えば、今すぐにだって繋がりたいけれど。
こんな脅えている桜を前に、無理強いなんてしたくない。
さっきも酷く震えていたし……あの男に襲われた時のことを、思い出してしまったのかもしれない。
自分の私利私欲を満たすために、唯一の愛しい人を脅えさせるなんて……俺はまだまだガキなのだと思い知らされた気がした。
そうだ、今すぐに桜を俺のものにする必要なんてない。
心は俺を選んでくれているのだから、それだけでいいじゃないか。
しきたりがあるからと言って、俺が他の男から、桜を守ればいいだけの話。
もう、あんな目には遭わせないと、決めたばかりなのだから。

