【完】君は狂った王子様。Ⅱ




俺を見つめながら、桜は首を傾げた。

その可愛い姿に、身体の奥がドクリと音を立てる。

必死に平然を装いながら、言葉を続けた。



「お兄さんとの一件が会った日、一刻も早く桜に俺を刻みこんで、安心したいと思った。でも、それは俺のエゴだろう?桜の大切な初めてを……こんな、不安を消すための行為にするのは嫌なんだ」

「がっ君……」

「それに、お兄さんのことも、有耶無耶になったままだからね。ちゃんと桜が安心して、心の準備も出来て、俺とそういうことをしたいと思ってくれる日が来るまで……はじめてはお預けにしよう」



桜が俺を求めてくれないと、何の意味も生まれない。

桜の中にある不安を全て取り払って、全ての後始末が済んでから……それまで、俺だって我慢くらいできる。