【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「バカ……そんなはずないだろう」



俺が、桜を嫌になるなんてこと、この世界で一番ありえないこと。

むしろ、その逆だよ。

桜が愛しいから、できない。



「聞いて、桜」



ポロポロと涙を溢す瞳を見つめながら、ゆっくりと口を開く。



「俺にとって、桜は何にも代えられない存在なんだ。桜だけが特別で、桜さえいてくれたら俺は生きていけるんだよ」



桜がいなければ、息もできない。
俺は俺でいられない。

俺が生きていく上で、桜の存在は必要不可欠。



「俺の愛も誠実も、あるだけ全てを桜だけに捧げたいと思ってるんだ。桜だけは……俺の手で幸せにしたい。俺が、幸せにしたい。

……だからね、今はなにもしない」