「バカ……そんなはずないだろう」
俺が、桜を嫌になるなんてこと、この世界で一番ありえないこと。
むしろ、その逆だよ。
桜が愛しいから、できない。
「聞いて、桜」
ポロポロと涙を溢す瞳を見つめながら、ゆっくりと口を開く。
「俺にとって、桜は何にも代えられない存在なんだ。桜だけが特別で、桜さえいてくれたら俺は生きていけるんだよ」
桜がいなければ、息もできない。
俺は俺でいられない。
俺が生きていく上で、桜の存在は必要不可欠。
「俺の愛も誠実も、あるだけ全てを桜だけに捧げたいと思ってるんだ。桜だけは……俺の手で幸せにしたい。俺が、幸せにしたい。
……だからね、今はなにもしない」

