【完】君は狂った王子様。Ⅱ




その姿に、欲情しないはずがなく、ゴクリと喉を鳴らした。



「桜……」



愛しい名前を呼んで、顔を近づける。

ゆっくりと触れ合った唇から、桜の緊張が痛いほど伝わってきた。


それは、ある種の恐怖とも取れる、脅え。



ーーーああ、矢張り俺は……



「桜、やっぱり、今日はやめようか?」

「えっ……?」



きょとんと、驚いた表情の桜の隣に寝転んで、小さな身体を引き寄せた。

少し震えてしまっている身体に、罪悪感に苛まれる。

その脅えを取り払ってあげたくて、優しく背中を撫でた。



「どうして、やめるの……?」

「ん?」

「わたしのこと、嫌になった……?」



泣きそうな声が聞こえて、心臓が張り裂けそうなほど締め付けられた。

ああ……頼むから、そんな顔をしないで。