お兄ちゃんもどうしてそんな考えに至るのか、心配そうにわたしを見つめてきた。



「ち、違っ…「あら!京極君!」



なんというタイミングで。

お母さんが、騒がしさに呼ばれたのか扉から顔を出す。

がっ君はいつもの王子様スマイルを浮かべ、お母さんに頭を下げた。



「勝手にお邪魔してすみません。ご無沙汰しています」



久しぶりにがっ君に会ったからか、お母さんは随分はしゃいでいる。



「入学式以来ねぇ〜!まーた男前になって!」

「和花子さんも、いつ見てもお綺麗ですね」

「ふふっ、お世辞が上手いんだから!いつも桜の面倒見てくれてありがとう。よかったら晩御飯食べて行ってちょうだい」

「是非、と言いたいんですが、家に帰って片付けないといけないことがあるので…今日は帰らせていただきます。また誘ってください」