「…そうですね。お邪魔みたいなので、今日は帰らせていただきます」



…え?



「…お、お泊りは…?」

「また今度にしようか。流石に家族の団欒を邪魔出来ないよ」



確かに、久しぶりに会えたお兄ちゃんと、話したいことはたくさんあるけど…

お泊り、したかったな…。



「う、うん…」

「そんな悲しそうな顔しないで」



俯き気味に返事をしたわたしに、がっ君はあろうことか、頰にキスをしてきた。

なっ…お、お兄ちゃんの前で…っ。



「が、がっ君…!?」

「ふふっ、また明日、迎えに来るね」



少しも悪気の無さそうな顔のがっ君。



「お前…桜子になんてこと…ッ」



お兄ちゃんは険悪な表情でがっ君を睨みつけ、わたしを自分の元へ抱き寄せた。