「凄く素敵なお店だねっ……!」
「気に入ってもらえた?」
「うん……!とっても!」
女性の店員さんが来てくれて、席に案内される。
ふかふかのソファに腰掛けて、わたしはひとつの違和感に気付いた。
「がっ君、他にお客さんは……?」
このお店、こんなに可愛くて女の人に人気がありそうなのに、わたしたち以外人がいない。
「ああ、今日は僕と桜の二人だよ」
「え……?」
「このお店、まだオープン前なんだ。京極グループが新しく女性向けのレストラン経営を始める予定でね。桜が最初のお客様だよ」
な、なるほど……って、そんなところに連れてきてもらって、いいのっ……?
「何が食べたい?」
メニューをわたしの前に広げて、聞いてくるがっ君。
「オープン前なのに、何頼んでも大丈夫なの?」
「もちろん。今日の夜、関係者を呼んでデモンストレーションを行うみたいだから、食材も揃ってる」