【side 牙玖】
久しぶりにバスケしたけど、やっぱり団体競技っていうのは好きじゃない。
試合終了の笛が鳴り、ふぅ……と息を吐く。
難波徹が愕然としているのを視界に入れて、思わず口角が上がってしまいそうになった。
てっきり、もう始末し終えた存在だと思っていたのに……よっぽど怖いもの知らずなんだろうな、こいつは。
どこまでが計算かわからなかったが、どうやらうちに練習試合を申し込んだのはあいつらしい。
そこまでして桜子に近づこうだなんて……今のうちに潰しておかないと。
試合が終わったと言うのに、一向に整列しようとしない難波徹。
俺はやつに近づいて、肩をポンっと叩いてあげた。
「とーる君、ほら、整列だよ?」
「……ッ」
「残念、負けちゃったね?」